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3年下巻「おすすめの一さつを決めよう」

「こんな授業ができます!」 令和6年度版小学校国語

2025年9月12日 更新

廣口知世 山口大学教育学部・教育学研究科講師

3年下巻「おすすめの一さつを決めよう」の授業づくりのアイデアを紹介します。

グループで上手に話し合いを進めよう

単元観

「1年生という相手におすすめの本を決める」という目的に向かい、役割を考えて話し合う単元である。相手と目的が明確であるからこそ、子どもたちは話し合いの必要性を感じるだろう。その必要性を下支えとし、小集団による合意形成の基礎を学ぶのに適した単元である。

  • 合意形成のための司会者の役割と、司会者が気をつけることを学ぶ。
  • 合意形成のための参加者の役割と、参加者が気をつけることを学ぶ。
  • 自分たちの話し合い方を振り返る。

単元の目標

合意形成のための司会者と参加者の役割や、気をつけることを考え、話し合うことができる。

評価規準

◎比較や分類のしかたを理解し使っている。[知(2)イ]
◎「話すこと・聞くこと」において、目的や進め方を確認し、司会などの役割を果たしながら話し合い、互いの意見の共通点や相違点に着目して、考えをまとめている。[思A(1)オ]
○「話すこと・聞くこと」において、目的を意識して、日常生活の中から話題を決め、集めた材料を比較したり分類したりして、伝え合うために必要な事柄を選んでいる。[思A(1)ア]
○グループで考えをまとめることに向けた粘り強い取り組みを行う中で、自らの話し合いを調整しようとしている。[主体的に学習に取り組む態度]

単元の授業過程(全8時間)

学習活動

1

1

①1年生の先生からのビデオレターを視聴し、目的や話し合いにかけられる時間、1年生への本の紹介のしかたなどを話し合い、確認する。

2

2

①目的や本の紹介のしかたに応じたおすすめの本を決め、おすすめする理由や根拠を考える。

3

②グループで試しの話し合いをし、気をつけたこと、うまくいったこと、うまくいかなかったことを話し合う。

4

③教師が作成した、司会者がいる場合といない場合の話し合いを聞き比べたり、文字化資料を見比べたりし、気がついたことを話し合う。
④司会者がいるとグループの話し合いが進むことや、「みんなが参加できるように気を配る」「目的からそれないようにする」などの、司会が気をつけることを確認する。

5

⑤架空のグループによる話し合いAと話し合いBを、教師が作成した音声や文字化資料を使って比べ、違いを見つける。
・ICレコーダーで録音した音声をコンピュータ等に取り入れるなどの方法で、話し合いの音声を用意するとよい。
・話し合いAと話し合いBの文字化資料を配付し、黒板にも掲示する。
・話し合いAは、参加者が順番に、自分の考えのみを言って終わる話し合いにする。
・話し合いBは、参加者が、「○○さんと、~~というところが似ています。」「○○さんと、~~というところが違います。」「○○さんの考えに賛成です。」など、他者の考えと自分の考えの共通点や相違点を考えたうえで発言している話し合いにする。
T:二つの話し合いの違いはどこかな。

話し合いA 話し合いB

⑥二つの話し合いのよさを見つけ、話し合いでは意見を整理していく必要があることを確かめる。
T:二つの話し合いのよさはどこかな。
・話し合いAからは一人一人が意見を出し合っていることが分かる言葉、話し合いBからは考えがまとまるポイントとなりそうな言葉を見つけて囲み、隣に理由を記入する。
T:話し合いAは、この後、司会者がどんなことをすれば、考えがまとまっていきそうかな。
・一人一人が出した意見を整理していく必要があることに気づくように話し合う。
⑦「似ている」「違う」「賛成」という言葉がもつよさについて考える。
T:「似ている」「違う」「賛成」と言うだけで、話し合いは進むのかな。話し合いBでは、このような言葉を使って、どのように自分の意見を言っているかな。
・「似ている」「賛成」という言葉は、考えを取り入れて、整理し、話し合いを進めるための言葉であることに気づくように話し合う。
・「違う」という言葉は、相手の考えを受け止めたうえで、次に話し合うことを決める手がかりとなる言葉であることに気づくように話し合う。
⑧参加者が共通点や相違点を考えながら発言すると、話し合いが進み、考えがまとまっていくことを確認する。
<評価のポイント>
※教師が作成した話し合いAと話し合いBを比べて考えることにより、出し合った意見を整理する話し合いになるように司会者が進行したり、参加者が共通点や相違点を考えて発言したりする必要があることに着目している。
※共通点や相違点を表す言葉のよさについて、書いたり述べたりしている。

6・7

⑨司会者と参加者の役割を果たしながら話し合い、相互に話し合いを観察する。

3

8

①上手に話し合いを進めるための司会者と参加者の役割や、気をつけることについて振り返る。
②自分ができるようになったことをまとめる。

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