みつむら web magazine

小学校と中学校で、教科書本文の文字の形が違うのはなぜですか。

子どもと保護者の「英語Q&A」

2023年8月29日 更新

光村図書 校閲課

小学校では、3年生から英語の授業が始まっています。保護者の方が、お子さんの学習を見てあげるとき、自分が学んだ英語とちょっと違うところがあったり、子どもの素朴な疑問に答えるのが難しいことがあったりするかもしれません。
このコーナーでは、教科書の校閲を担当しているメンバーが、小・中学校で学ぶ英語に関する保護者の方のさまざまな疑問を取り上げて解説していきます。

小学校と中学校で、教科書本文の文字の形が違うのはなぜですか。

それは、子どもたちの目に触れる文字の形に配慮しているためです。
英語を書くことに慣れてくる前の中学校1年生までは、比較的手書き文字に近い文字を多く使用しています。
目にする文字と実際に書く文字に大きな違いがないほうが、文字の認識がスムーズにできるからです。

以下が、実際に教科書本文で主に使用している文字の形です。
・小学校の教科書……手書き文字にきわめて近い独自のフォントを使用しています。
・中学校1年生……手書き文字に近いゴシック体フォントを使用しています。
・中学校2年生以降……外部試験等でも使われたり、一般によく見られる複数のフォント文字を使用しています。 

では、教科書で実際に使用されている文字をいくつか見てみましょう。

①小学校の教科書本文で使っている文字の形

eigo-06-02.png

②中学校1年の教科書本文で主に使っている文字の形 

eigo-06-03.png

③中学校2年以降の教科書本文で主に使っている文字の形

eigo-06-04.png

上記の文字を見ると「a」の形は、中学2年生以降で大きく変化しています。他にも「g」も、中学校2年以降で形が異なります。
小学校のうちは、文字を見ながらまねて書くことが多いので、最も手書きに近い形になっています。
また、中学校2年生以降の文字には、出っ張り(「セリフ(serif)」とよばれます)が付いています。このセリフは、慣れないうちは子どもたちが漢字の「はね」や「はらい」と同じように書かなければいけないと勘違いしてしまう可能性があるため、このフォントを早い学年から本文に使用することはありません。

教科書では、①~③が同じ語であることを学年段階を踏まえて認識できるようになり、書くときに迷わないような工夫を凝らしています。

【監修】小泉 仁(光村図書『Here We Go!』編集委員)

Illustration:  Mimei Umimachi

関連記事

記事を探す

カテゴリ別

学校区分

教科別

対象

特集