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第8回 ローマ字を英語だと思っている子どもに、 どう指導したらよいですか。

小学校英語 お悩み相談室

2018年12月19日 更新

小泉 仁 東京家政大学教授

2020年度から本格化される、小学校での英語教育。先生方のお悩みに、小泉先生がお答えします。

ローマ字は、小学3年生の国語の授業で取り扱います。ローマ字は英語ではなく、アルファベットで表記された日本語なのですが、子どもたちにはそういった区別が難しく、国語の授業でローマ字を学習したら、英語が書ける、読めると思ってしまうことがあります。これからは小学3年生から外国語活動が始まりますので、先生方はより一層、そのことを意識して指導する必要があるでしょう。

ローマ字はアルファベットを用いますが、書かれたものは日本語であり、英語とは仕組みが異なることを子どもたちに理解させる必要があります。国語、英語の両方の時間に、先生が丁寧に説明すべきです。「日本語をローマ字を使って書いても、それは英語ではないんだ」と。

ローマ字は日本語であり、ほとんどの音が「子音+母音」がセットになって表記されます。実際、日本語の「さ」は、/s/という子音と/a /という母音の組み合わせで構成されており、それが一つの音として扱われます。

しかし、英語ではあくまでも、子音と母音が別々の音として認識されます。そのため、子音は子音として、母音は母音として区別できることが重要になります。子音と母音を切り離す練習をすることで、英語特有の発音やつづりはローマ字では表せないことに気づかせられるとよいですね。

その練習のためには、catやdogなどの3文字の英単語を活用するのがおすすめです。catであれば、caとtに分けるのではなく、c+atと分解して子どもたちに読ませてみる。このように、語頭の子音文字だけを目立たせて練習することで、子音の一つ一つに、どんな音があるのかを意識させます。

なお、小学校の段階では語頭の1文字の練習で十分です。そのうちに、英語のつづりを見慣れて、ローマ字との違いが理解できるようになるでしょう。

Illustration: 小林マキ

本連載は、広報誌「英語教育相談室」にも掲載されています。本誌の内容はこちらから。

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小泉 仁(こいずみ・まさし)

東京家政大学教授。元・文部科学省初等中等教育局教科書調査官。日本児童英語教育学会(JASTEC)会長。一般財団法人語学教育研究所理事。『COLUMBUS 21 ENGLISH COURSE』の編集委員を務める。

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