みつむら web magazine

第6回 感謝を伝える

ALTとの会話のコツ

2026年1月19日 更新

窪田 遼 株式会社イーオン

英会話イーオンと光村図書のコラボ企画。
小学校の先生方がALTとコミュニケーションを取るときのコツをお伝えします。

仲間の門出に華を添える言葉を

Hello, teachers! My name is Ryo Kubota from AEON. In this series, I’m sharing tips for communication between school teachers and ALTs.
多くの外国人講師と共に働いてきた経験をもとにお伝えしている当連載ですが、今回は「ALTに感謝を伝える」際に使える英語にフォーカスしてお話しします。特に、期限付きのALTは、転職や転勤、帰国などお別れのシーンを経験することが多いです。これまでの貢献への感謝の気持ちと、一緒に英語を教えてきた仲間の門出に華を添える表現を学びましょう。

感謝を伝えるポイント

大前提となるのは、英語の正しさは二の次であるということです。感謝の気持ちを、知っている言葉を使って全身で表現することが何より大切なことです。しかし、一緒に英語の指導を行ってきた仲間であり、子どもたちも大好きだったALTとのお別れの場面で、しっかりと感謝の気持ちを伝えられるように、どうせなら適切なフレーズを知っておきたいですよね。この記事では、「感謝を伝えるフレーズ」、「ALTの貢献について述べるフレーズ」、「今後の無事や発展を願うフレーズ」を学ぶことができます。これらを組み合わせることで、感謝の気持ちをしっかりと伝えることができるはずです。

感謝を伝えるフレーズ

まずは、これまでのことに関して感謝を述べましょう。結論から入ることが多いと言われる英語らしい部分です。“Thank you.” だといつもの「ありがとう」と変わらないので、「これまでのご貢献に」や「学校のために」といった少し大きな言葉を付け加えると、相手に対して感謝の気持ちが伝わります。二つ表現を紹介します。  

① Thank you very much for everything you have done for this school.  この学校のためにあなたがこれまでしてくれた全てのことに感謝します。
② Thank you very much for all of your hard work this school year. 

今年度のあなたの全ての努力と貢献に感謝します。

①の表現 “Thank you very much for everything you have done for this school.” では、'for'の後に感謝の対象となる内容を述べます。‘everything’だけだとざっくりしすぎるので、‘you have done for this school’と具体的に説明を加えましょう。現在完了は難しいと感じるかもしれませんが、「これまで」という時間の幅を表現するのにピッタリです。文法が苦手な方は、ぜひこのセットフレーズを口で覚えて活用してください。

②の表現 “Thank you very much for all of your hard work this school year.” では、'everything'ではなく 'all of your hard work'を使っています。これにより、努力や貢献に対する感謝のニュアンスが加わります。「今年度」を表す ‘this school year’など特定の期間を表す言葉を付け加えることもできます。

ALTの貢献について述べるフレーズ

英語では最初に結論を述べ、その後で具体的な内容について話が進んでいきます。その際、‘I’, ‘you’, ‘students’などの主語や、具体的な成果について触れることで、気持ちがより伝わります。いくつかの表現を紹介しますので、お気に入りのフレーズを覚えて活用してみてください。

③ It was a pleasure working with you.  あなたと一緒に仕事ができてうれしかったです。
④ The students really enjoyed having you in class.  子どもたちはあなたとの授業を本当に楽しんでいました。
⑤ You were a big part of our school.  あなたは私たちの学校にとって大きな存在でした。
⑥ The students have really improved their English a lot.  子どもたちはとても英語が上達しました。
⑦ Because of you, students have really enjoyed speaking and learning English.  あなたのおかげで、子どもたちは英語を話したり学んだりすることを本当に楽しんでいました。
お気に入りの表現はありましたか? 私自身は⑤の 'You were a big part of our school.' なんて異国の職場で言われたら嬉しいです。次のステージでもがんばろうというモチベーションになります。また、⑦の 'Because of you, students have really enjoyed speaking and learning English.' も具体的で、自分の仕事が学校の役に立ったと実感できる表現です。

今後の無事や発展を願うフレーズ

次に、ALTの今後の無事や発展を願う表現です。このような特定の場面に限定した言い回しは、ある程度定型化されていますので、自分で考えるのは難しいものです。ネイティブがよく使う表現を見てみましょう。私も多くの外国人講師との出会いや別れを経験していますが、そのたびに「そんな言い方もあるのか」と驚きます。

⑧ Good luck with everything back home. 故郷に帰って全てがうまくいきますように。
⑨ We wish you nothing but the best in whatever you do. あなたがする全てのことに最良の結果を願っています。
⑩ We will miss you so much. 本当に寂しくなります。
⑪ Take care and stay in touch. どうぞお元気で。また連絡を取り合いましょう。

⑧の “Good luck with ~.” の表現は非常によく使われます。ALTがその後何をするのか知っている場合は、それに続けることができます。

⑨の表現は少し堅い言い方ですが、‘We wish you nothing but the best ~’が難しいと感じたら、‘We wish you the best in ~’も使えます。

⑩はシンプルで普遍的な気持ちを伝えます。むしろこれを言われないと、相手は心配になるのでは。

⑪は「これが最後ではない」というニュアンスがあり、‘take care’はカジュアルな別れの挨拶としても使われます。‘stay in touch’は「連絡を取り合う」という意味になり、これからも関係が続く雰囲気を出します。

実践 会話例

以下は、小学校教員(A)とALT(B)の別れのシーンでの会話例です。前述のフレーズがどう使われているか見てみましょう。

 

動画のスクリプト

A: 担任の先生 / B: ALT

A: Thank you very much for everything you have done for this school.
B: Thank you! It's been a pleasure working with you.
A: The students really enjoyed having you in class.​​​​​​​​​​​​​​
B: I loved teaching them! They made my time here very special.​​​​​​​
A: You were a big part of our school. Because of you, the students have really enjoyed speaking and learning English.​​​​​​​​​​​​​​
B: That means a lot to me! I’m so happy to hear that.​​​​​​​​​​​​​​
A: We will miss you so much. Good luck with everything back home.​​​​​​​
B: Thank you! I wish you and the students all the best.​​​​​​​
A: Thank you. Take care and stay in touch.
B: I will! See you later!

このように組み合わせて会話の中でフレーズを使うことで、感謝の気持ちや別れの寂しさを表現できるかと思います。もしかしたら、感謝の言葉をどう伝えるべきかを学び、準備すること自体が、感謝の表現になるかもしれません。寂しいお別れの時間が、言葉の力でALTとの絆を感じるすてきな場面になると嬉しいです。

今回でこの連載は最終回を迎えました。記事を読んでいただいた皆さま、ありがとうございました。
言葉の力、英語の力が子どもたちの未来を切り開く力になると信じています。小学校での英語の時間は、多くの子どもたちにとってその原体験になります。
これまで小学校教員の皆さまと英語の指導について一緒に考えて悩んだ時間の中で私が学んだことは、指導者が子どもたちにとって身近な存在であればあるほど、その経験が大きな意味をもつということです。
英語が上手な人はいくらでもいますが、子どもたちにとってたった一人の「私の先生」と一緒に英語に挑戦する経験は、他には代えられない貴重な時間です。ですので、子どもたちにとっては、一人一人の先生がその英語力に関わらず最高の指導者であるということを最後にお伝えしたいと思います。
​​​​​​​最後までお読みいただきありがとうございました。

窪田 遼(くぼた・りょう)

株式会社イーオン 法人事業本部 教務コーディネーター

留学経験なしでイーオンに入社し、イーオンスクールでの教務主任などを経て現職。全国の自治体での教員研修を担当。特に、小学校教員への指導には定評がある。J-SHINE 小学校英語指導者資格保有。

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