読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
郷土の本を抜き終えたら、次は戦争の本を集めてきてください。戦争の本は捨てては困ります。原爆の本は、“原子力”または“核”で、これまた集めてきてください。
まずは、捨てては困るもの、の確保からです。図書館の本は“表現形態で分ける”(つまり“第二次世界大戦”というテーマではなく、写真集、小説などのように、表現方法で分けるということです)というのが基本ルールですが、それだけではやっていけないので、部分部分テーマで集めて別に置きます。これを“別置(べっち)”といいます。先月の“郷土”も今月の“戦争”や“核”も別置です。別置には“勉強している今だけ”というのもありますが(修学旅行の本は、行く先が変われば集める本も変わりますよね)、この三つは永久別置でいいでしょう。 この三つを抜くと、本棚はかなりすっきりします。
そうやって集めてみると、今度はその“戦争”のなかでも、外国の本は、“第二次世界大戦”(ほとんどナチスものですが)“それ以前”“現代の戦争” に…、日本の本は、“第二次世界大戦以前”“東京大空襲”“沖縄戦”などに分けられることに気がつくでしょう。分類の目的の一つはここにあります。
“分類”することで新しく見えてくるものがあるのです。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。