読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
今回は「やってはいけない分類」についてお話します。Q16で「ハートマークの分類」を思いついたお話をしたように、司書は自分のいる図書館に適した分類体系を作っていくのですが、当然そこにはやってはいけない分類もあるのです。
全体の体系を壊すようなテーマ分類はやってはいけないのですが、特に小学校に行くとびっくりするような分類に出会います。一番多いのは、「絵本の部屋」ですが、これはゼッタイやってはいけない分類です。なぜかと言うと、今の絵本では心理学も社会学も扱っているので、「絵本」でひとまとめにしたら、分類していることにはなりません。「低学年の部屋」と「高学年の部屋」も「かんべんしてください」という分類です。子どもは学年で分けられますが、本は分けられません。「恐竜の本」はどっちへ置けばいいの?ということになります。
あとびっくりしたのは「動物が出てくる本」という分類ね。なんと!『シートン動物記』と『ルドルフとイッパイアッテナ』が一緒に入っていました……。うわおっ!その他、小学校にあった、思わず息を呑んだ分類は枚挙にいとまがありません。やっていい分類とやってはいけない分類の区別は難しいです。だから司書という図書館をつくれるプロが学校図書館にも必要なんです。誰にでも三日でできるような仕事なら、2000年のあいだ、存続してなんかいません。とっくになくなってますって!
どんな職業だって、一流になるのは大変なことですが、学芸員はとくに難易度の高い仕事の一つだということには、どなたも異存がないでしょう。そして司書というのは、本を専門に扱う学芸員なんです。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。