みつむら web magazine

Q20. 分類の考え方を教えてください。(その2)

読書Q&A 学校図書館(理論編)

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。

A(回答)

そういうわけで(Q19の続きです)、繰り返しになりますが、司書の仕事のまず第一義は、自分が配属された図書館の分類体系を考えることです。今の公共図書館と学校図書館はかつて、日本十進分類法を採用しました。その当時は分類体系を考える司書がいたわけです。ところが、いったん分類体系ができあがってしまうと、その後入ってきた人たちは、出来上がったものを「覚えろ」とだけいわれて、自分で独自の分類体系を考えることがほとんどなくなってしまいました。今でも専門図書館なら、分類体系を考えろ、といわれるかもしれませんが(最近はそれも怪しいかも?)、公共・学校図書館でそういうことは継承されませんでした。

でも、やっぱり小学校の図書館だったら、小学生向きの体系にしないと小学生には使いづらいですよね?!

もちろんそこで分類の基本を無視しためちゃめちゃな分類をされると、誰が使っても不便な図書館になってしまいます。知識があり、訓練されていて、なおかつ才能がある司書がいないと機能的で魅力的な分類はできあがりません。

たとえば受け入れ番号順に(つまり買った順に)並べられていたらどうでしょう?それもひとつのやりかたです。でも、そうしたら内容で本を探すのが大変でしょう?いつも、端から端までみなくてはなりません。

分類体系はその図書館が要求する目的がないと作れません。だから全体の分類体系を壊さないように(これ大事!)、かつ、子どもたちが使いやすいように、かつ、その学校の特殊性にあわせた分類を考えるわけです。60人しかいない学校と、1000人もいる学校ではそれだけでも多少は変わってきます。ときには部屋のサイズによって変わることもあるのです。

でも上手に作れば……。とても使いやすく、わかりやすく魅力的な図書館が誕生します。そうして小学生には学力がつき、自信がつき、自尊心を取り戻すのです。

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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