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第6回 英語の評価をする自信がありません。

小学校英語 お悩み相談室

2018年6月27日 更新

小泉 仁 東京家政大学教授

2020年度から本格化される、小学校での英語教育。先生方のお悩みに、小泉先生がお答えします。

学習指導要領を見る限り、小学校英語では正確性をあまり重視していません。英語で話す際、発音やアクセントの正確さを求めるというレベルまでは要求されていないのです。とにかく、聞かれたことが理解できて、返事ができればそれでいい、というのが今の小学校英語で求められていることです。

例えば、自己紹介の練習で、子どもが“I like dog.”と言ったり書いたりしたとします。書く活動であれば、適切な表現は“I like dogs.”ですが、伝えたい意味が理解できるなら、それは二重丸です。学習指導要領にある「語順を意識しながら書き移すこと」が認められれば、正確性はそこまで追求する必要はありません。なので、必ずしも先生の英語力がなければ評価できないということではないのです。

とはいえ、これまでの中学校英語では正確性をとても大事にしてきました。先生方にとって、新たに教科化する小学校英語は、今まで経験してこなかった新しい評価をしなくてはいけないので、難しいところだと思います。

小学校英語における評価のものさしは、正確性という1本だけではありません。先生たちは、それぞれの課題やテストで、子どもたちの「何を」測りたいのか、多様な観点から考える必要があります。「今日は相手に思いが伝わったかどうかを確かめます」とか、「今日は先生が感激した発表にボーナス点をあげます」とか。特に小学校の段階では、文法や綴りのミスで減点するのではなく、コミュニケーションを取ろうとする姿勢を見て、加点的な評価をすべきでしょう。

子どもが自分の言いたいことが英語だけでは伝わらなくて、絵を描いて相手に説明したとします。それはコミュニケーションを続けようとする意志の表れですよね。小学校英語では、「主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養う」ことが大切なので、それはプラスの評価の対象になるわけです。

Illustration: 小林マキ

本連載は、広報誌「英語教育相談室」にも掲載されています。本誌の内容はこちらから。

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小泉 仁(こいずみ・まさし)

東京家政大学教授。元・文部科学省初等中等教育局教科書調査官。日本児童英語教育学会(JASTEC)会長。一般財団法人語学教育研究所理事。『COLUMBUS 21 ENGLISH COURSE』の編集委員を務める。

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