教科書の言葉 Q&A
2015年3月31日 更新
教科書編集部 光村図書出版
教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。
第1回 「分かち書き」って、なんですか?
Q:小学校低学年の国語教科書は、「分かち書き」になっていますが、なぜなのでしょう。
「分かち書き」とは、語と語の間や、文節と文節との間を1字分空けて書くことをいいます。これは、低学年児童の読みの負担を少なくするため、学習上の配慮として生まれた表記法です。
新しく小学校に入学されたお子さんをもつ保護者の方は、1年生の教科書を開いて気づかれたかもしれませんが、入学当初の教科書は平仮名中心で書かれています。平仮名だけの文は、語句と語句の切れ目がわかりにくく、意味も捉えにくいものです。語彙量の乏しい低学年児童には、一語一語の判別も難しいでしょう。そのため、文節単位に分かち書きすることで、読みやすく、文意をつかみやすいものにしてあるのです。
ただ、低学年においても児童の学習は日に日に進みます。教科書会社によって少し考え方が違うかもしれませんが、光村図書小学校「国語」教科書の分かち書き表記は、段階を追って三つのステップから成っています。1年4月から2年6月ごろまでに学習する教材は、最初の段階として文節単位の完全分かち書きとしています。また、2年7月から12月ごろまでに学習する教材を第二段階として、文のまとまりが3文節以上のものに対して、いちばん文意をとりやすいところに1字分の空きを入れています。分かち書きを採用しているのはここまでで、2年1月に学習する教材からは分かち書きなしの形をとっています。
このような段階をつけたのは、学習が進むにつれて、漢字の習得が進み、句読点も学習するため、児童が語句と語句の切れ目を捉えやすくなるという理由からです。
なお、分かち書きは、読みやすくするための手段として採用しているもので、児童が実際に文を書く場合にまで要求するものではありません(教科書本文をそのまま視写するような場合は、例外です)。教科書教材で活字の使われている部分が分かち書きになっているのに対し、書き文字で示した文章例が分かち書きになっていないのは、実際に児童が書いた例を示すというねらいがあるからです。
次回は、教科書の表記に関する疑問にお答えします。
- このシリーズの目次へ
-
前の記事
- 次の記事