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教科書の言葉 Q&A 第7回

教科書の言葉 Q&A

2015年8月28日 更新

教科書編集部 光村図書出版

教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。

第7回 「作る」と「造る」の使い分けは?

Q:「つくる」を漢字で表すとき、どのように使い分ければいいのでしょう。

ある物に手を加えたり、組み立てたり、別の新しいものを生み出すことを「つくる」といいますが、この語には「作」と「造」の漢字が当てられます。「作」と「造」をどのように使い分けるのか、用例から比較してみると、次のようになります。

◇「作」を用いる例
文を作る・歌を作る・米を作る・着物を作る・人形を作る・草花を作る・料理を作る・記録を作る・規則を作る・前例を作る・計画を作る・作り話・作り笑・手作り

◇「造」を用いる例
船を造る・校舎を造る・自動車を造る・貨幣を造る・酒を造る・庭園を造る・宅地を造る・石造り・合掌造り

このように、「作」は主に規模の小さいもの、または抽象的な無形のものをつくるときに使われ、「造」は規模の大きいもの、工業的なもの、有形のものをつくるときに使われていることがわかります。
「作」と「造」の使い分けについては、次のような漢語との関連で考えてみると、わかりやすいかもしれません。一例を紹介します。

◇「作」
作曲・作詞・作者・作品・作文・耕作・工作・佳作 

◇「造」
造園・造花・造船・造幣・酒造・醸造

ただ、さしみの意で使われる「お作り」と「お造り」、「生け作り」と「生け造り」など、辞典や用語集によって、どちらも認めているものもあります。また、「人づくり、小づくり」などのように、「作」「造」のどちらの漢字を当てても落ち着かない場合は、平仮名で書かれることが一般化しているようです。

平成22年に改訂された常用漢字表から、「創」にも「つくる」という読みが加わりました。「それまでになかった新しいものを生み出すこと」と書かれている辞典もあり、「文部科学省用字用語例」にも、「未来を創る」「時代を創る」という用例が挙がっています。

教科書では、「作」は一般的表記、「造」は慣用的表記と考え、例に挙げたような慣用が定着しているものについて「造」を使用しています。また、「創」は、つくり手の創意工夫が感じられるものについて限定的に使用しています。ただし、「造」は小学校5年生、「創」は6年生の配当漢字ですので、小学校段階において、それより前の学年では平仮名表記としています。

次回は、「一人」と「独り」の使い分けについてお答えします。

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