みつむら web magazine

教科書の言葉 Q&A 第18回

教科書の言葉 Q&A

2016年7月11日 更新

教科書編集部 光村図書出版

教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。

第18回 会話文の「 」(かぎ)の正しい使い方は?

Q:会話文の「 」(かぎ)は、書籍によって、さまざまな使い方がされています。
原稿用紙にたて書きする場合は、どう書くのが正しいのでしょうか。

原稿用紙での「 」(かぎ)の使い方については、公的に示された決まりはありません。そこで、教科書では、一般的な表記との関連や、子どもたちの学びやすさといった観点から、一定の表記の基準を定めています。

○原稿用紙のます目の中の位置
教科書では、4等分したます目を用いて、次のように示しています。

画像 教科書紙面
光村図書小学校『国語』1年下P16

つまり、始まりの「 は、ます目の下半分の右寄りに、終わりの 」は、ます目の上半分の左寄りに書くということになります。ただし、「 」内の最後の文字が行末に来る場合には、 」を行末の文字と同じます目の下方、あるいは、欄外に書くとよいでしょう。

○会話文の行頭の位置
通常、段落の初めは1字下げるというのが表記の決まりですが、教科書では、会話文の始まりの「 に限って、1字下げにはしない形にしています。小学校の教科書の例をご覧ください。

画像 教科書紙面
光村図書小学校『国語』5年P215

このように、見た目のうえでは、「 が少し下がった位置から始まっています。また、会話文が2行以上にわたる場合は、2行目以降の行頭を1字分下げて表記しています。そうすることで、会話文と地の文との区別が視覚的にはっきりとします。特に小学校段階では、会話文に着目するという基礎的な学習が大切ですので、できるだけ明確な形にしておく必要があるという理由からです。なお、このような表記は、戦前の国定教科書の頃から続く慣行でもあるようです。

しかし、一般の書籍では、会話文の2行目以降が行頭から始まるものも多くあります。そこで、中学校の教科書では、徐々に一般の書籍に慣れていく段階であることを踏まえ、次の例のように、会話文の2行目以降を行頭から始まる形にしています。

画像 教科書紙面
光村図書中学校『国語』2年P21

また、中学校の教科書では、短い会話文を地の文に含めて示すなど、作品によって小学校とは異なる表記を用いることもあります。

以上が、教科書における会話文の表記の基準です。
会話文の他にも、「 」は、書名や引用、心内語など、他の言葉と区別して示す必要がある場合に使われます。前述のように、原稿用紙での書き方については公的な決まりがないため、文章全体で読みやすく統一されていれば、「正しい使い方」にこだわりすぎなくてもよいかもしれません。

次回は、送り仮名に関する疑問にお答えします。

関連記事

記事を探す

カテゴリ別

学校区分

教科別

対象

特集