
教科書の言葉 Q&A
2015年5月19日 更新
教科書編集部 光村図書出版
教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。
第3回 「日付」、それとも、「日付け」?
Q:「常用漢字表」を見ると、漢字「付」の読みは、「フ・つ(く)・つ(ける)」とありますが、教科書では「日付け」ではなく、「日付」と書かれています。どうしてですか。
教科書における送り仮名の付け方は、内閣告示「送り仮名の付け方」をよりどころにしています。「送り仮名の付け方」の本文は、通則1から7まであり、送り仮名の付け方に関する基本的な法則と、必要に応じた例外的な事項または許容的な事項が示されています。
その中の通則7には、「複合の語のうち、次のような名詞は、慣用に従って、送り仮名を付けない」という例が示されており、「日付」をはじめ、「切手」「木立」「小包」「試合」などが挙げられています。
教科書で「日付け」ではなく「日付」と表記しているのは、この通則7に従ったためです。他にも、通則7に例として示されている「慣用が固定されていると認められているもの」には、以下のようなものがあります。
書留 | 消印 | 切符 | 踏切 | 売値 |
買値 | 仲買 | 歩合 | 割引 | 組合 |
夕立 | 字引 | 場合 | 羽織 | 番組 |
番付 | 物置 | 物語 | 役割 | 屋敷 |
合図 | 合間 | 植木 | 置物 | 織物 |
立場 | 建物 | 受付 | 浮世絵 | 絵巻物 |
(一部抜粋)
ただし、通則7には、(注意)として「通則7を適用する語は、例に挙げたものだけで尽くしてはいない。類推して同類の語にも及ぼすものである」という記述があります。
例えば、「差出人」「挿絵」などは、通則7の例には挙がっていませんが、教科書では送り仮名を付けずに表記しています。このような語に送り仮名を付けるかどうか、小社では、「文部科学省公用文送り仮名用例集」や「常用漢字表」の用例などを参考にして判断しています。
次回は、書体に関する疑問にお答えします。